第16回賃労働と資本
カール・マルクス 村田陽一訳
国民文庫=大月書店 の学習
26ページ
わが読者諸君は、一八四八年に階級闘争が巨大な政治的形態をとって発展するのを
みてきたのであるから、ブルジョアジーの存立と彼らの階級支配との基礎をなしており、
また労働者の奴隷状態の基礎ともなっている経済的諸関係そのものに、いまやくわしくたちいるべきときである。
われわれはつぎの三つの大きな部分にわけて叙述し よ う。
(一) 賃労働の資本にた
にたいする関係、労働者の奴隷状態、 資本家の支配。
(二)今日の制度のもとでは、中間
市民階級といわゆる農民身分の没落が避けられないこと。
(三) 世界市場の専制的支。支配者であるイギリスがヨーロッパのいろいろの民族のブルジョア階級を商業的に隷属させ搾取していること。
われわれはできるだけ簡単に、わかりやすく述べるようにつとめ、読者は経済学のごく初歩的な概念さえもたないものと仮定してかかろう。われわれは、労働者にわかってもらいたいのである。
それに、ドイツでは、 官許の現状弁護論者から社会主義的な魔術師やみとめられない政治的天才――細分したドイツには、こういった連中は君主の数よりまだ多いのだが―にいたるまで、もっとも簡単な経済的諸関係にかんしてさえきわめてはなはだしい無知や概念の混乱がみなぎっているのである。
そこで、まず第一の問題にとりかかろう。
賃金とはなにか?
それはどのようにしてきめられるか?
もし労働者に、きみの賃金はいくらか?
とたずねるなら、あるものは、「私は私のブルジョアから一労働日につき一マルクもらっている」とこたえ、また他のものは、「私は二マルクもらっている」などとこたえるであろう。
彼らは、その所属する労働部門のことなるにしたがって、一定の作業をはたしたことにたいし、たとえば一ャールの亜麻布を織ったことや、一台分植字したことにたいして、彼らがそのときのブルジョアからうけとるいろいろちがった金額をあげるであろう。
彼らのあげる数字がいろいろであるにもかかわらず、つぎの一点では彼らはみな一致するであろう。それは、賃金とは、一定の労働時間、または一定の労働給付にたいして資本家が支払う貨幣額のことだ、ということである。
だから、資本家は貨幣をもって労働者の労働を買い、労働者は貨幣とひきかえに資
本家に自分たちの労働を売るようにみえる。
しかし、これはそうみえるだけである。彼らが実際に貨幣とひきかえに資本家に売るのは、彼らの労働力である。
この労働力» を資本家は、一日、一週間、一ヵ月等々をかぎって買う。そして彼は、それを買った27ページ末